日曜日のダー・ナン

 朝8時にフエを出発したsinh cafeバスは2回の休憩を入れ、3時間半後の11:30にベトナム中部の商業都市ダー・ナンに到着した。


荷物を背負ってバスから降りると、バイクタクシーやシクロのおっさんが「どこ行くねん?」と、しきりに声をかけてくる。
僕はガイドブックに載っている安いホテルに行こうと思い「ここまで行ってくれ」とバイタクに乗ったが、おっさんは何故か、違うホテルへ。
「ここにしな!」と勧められたが、俺は安けりゃどこでもいいけど、言った場所に行けよオヤジ。
とりあえず部屋を見せてもらうことにした。US6$のシングルルーム。
ドアを開け最初に目に入ったのは、破れた網戸。窓の扉はありません。
ガムテープで補修するには穴が大きすぎるというか、ほとんど破れているので、断って次ぎのホテルへ。

僕の希望通り、ガイドブックに載っている第一志望のホテルに行ったが、安い部屋は満室だと言われ高い部屋を勧められたが、ここも断り、もう一軒の安宿へ。
ここが今、宿泊している所でUS4$です。『THU DO Hotel』
扉もちゃんと閉まり、Fanもついているのでいいが、天井付近の壁が格子状になっていて虫の出入りが可能です。
そして困ったことにトイレは便座がなく便器のみが置いてある。

小便をしてみたが、レバーはなく便器の隣にバケツがある。そうか!これを使うのだな。
さっそくバケツに水をいれ、軽く流してみたが流れない。次にもっと高さをつけ、勢いよく流してみた。
そしてら便器の中の水分が跳ね返った。まぁだいぶ薄まったので良いとしよう。
壁には日本人旅行者の情報(落書き)が書かれているという歴史ある部屋です。

ダー・ナンの街

バイタクのオッサンもさんざん連れ回したのに5,000VNDじゃあかんやろと思い、10,000VND渡し
おっさん行きつけの飯屋にも連れてってもらったが、財布を見ると5,000VNDしかない。
どうしようビールも注文してしまったし、飯も頼んでしまっていた。
しょうがないのでUS1$と5,000VND払った。
きっとこの中にはバイタクのおっさんのビール代も含まれているのでしょう。
しかしこの飯屋にはカワイイ女の子がいた。オッサンありがとう。

俺は一人でブラブラとカメラをぶら下げ歩いた。
ダー・ナンの昼は交通量が少ない。今日は日曜日なのに、暑いからかな?と考えていると、シクロのおっさんが「どこに行くねん?」と声をかけてきた。
俺は「もうええちゅうねん!オマエ等には、用はない。」という感じだ。
そしたらそのおっさんが「ヒマやし俺も向こうに行くからタダで乗せたる。」と言ってきた。
ほんまかいな。降りたら2$,1$って言うてくるんちゃうんか?

しかし、そのようなことはなくミュージアム前まで連れてってくれた。
けっこう乗っていたのでタダは悪いと思い4,000VND渡した。「おっさんこれで水でもこうてくれ。」
 
ミュージアム(チャム博物館)は4世紀頃から、約1,000年あまりも続いたチャンパ王国の石像などが壁にうめこまれ展示されていたり放置されていた。
とても風通しがいいこのミュージアムは居心地がよくて、昼寝してしまいそう。
次に向かったのは市場。おばちゃんにアヒルを買わないか?などと勧められ、いらん。
お婆さんに「写真を撮ってもいいですか?」と尋ねると「ワンダラー。」と一言。
アホか!金払ってまでババアの写真なんか撮りたないわ!
そして俺の横には何故かバイタクのオッサンがいる。

左:食堂の女の子

右:ビーチにて


オッサンは俺に日本人旅行者の感想文が書いてある手帖やはがきを見せてくれた。
ちょっと読んでみた。「私はUS40$で彼のバイタクで観光した。」
「US20$で市内観光した。」などでした。
俺のハノイの時とええ勝負やな。しかし今の私はあの時とは違います。

オッサンに「あっそう、よかったな。」と言うと、オッサンは日本人の名前を出して「My friend、マイ・フレンド」と俺を指さし言う。
俺は「そんなヤツ知らん。もう向こう行け。」と突き放す。
今日一日で「khon com on」と何回言ったのだろう。おかげで断り方を覚えてしまった。

特に行きたいところもなく、カフェ(屋台)でコーラを飲んでいると、さっきとは違う、バイタクのオッサンが寄ってきた。
オッサンは「ここ行った。あっこ行った?」「ビーチは行った。ええで。」と営業してきます。
俺はテキトーに聞き流していたが、ビーチかー。行ってみよう!と即決し値段交渉開始。
往復28,000VNDで決定し、ミーケービーチへGO!GO!

ビーチは外国人も少し居たが、ほとんどベトナム人だった。
俺はクツを脱ぎ、ズボンを膝まで上げて、波打ち際を歩く。
おっー!海っていいねえ。久しぶりに海水の中に足を入れ感動。
しかし、そんな間もごくわずかだった。
俺はカメラをぶら下げていたので、老若男女みなさん写真を撮ってくれ!
撮ってくれ!と声をかけてくる。
俺も「ええで」と言って撮っていたが、あまりにも大勢だったので、フィルムがもたないと思い、最後の方はシャッターを押すふりだけしていた。

また波打ち際を歩いていると、今度はおっちゃん達が「ビール飲めへんか」と声をかけてきた。
コップにビールをついでもらい、隣のオッサンと一気に飲み干した。
良い飲みっぷりだねー。なんて言われながらも、ありがとうと言い、その場を去る。
次は客引きのおばちゃんがビーチのイスに座って、なんか飲まないか?と言ってくる。
こうなったら少しの時間だけでもビーチライフをしてみようと思い、イスに座って、コーラを飲む。
やはりぬるいコーラはまずい。


あっと言う間に、1時間たったのでバイタクのオッサンがいる所までもどった。
このオッサンもさっきのオッサンと同じように、日本人旅行者の感想文手帖を俺に見せて、「明日は?」と聞いてくる。
明日はホイアンに行くからと言うと、「バイクで行けへんか?」と、楽しそうな事を言ってきますが、俺はすでにバスのチケットを購入していたので断った。
それでも、オッサンは諦めが悪く、必要以上に俺に「バイクで行こうやー。」と言ってくる。
「もう、ええから早く戻れ!」と言うとオッサンはあきらめた。
俺はオッサンに30,000VND払い、釣りはいらないと言ったが、オッサンも払う気はない。
「タム・ビエット(さよなら)」と言い、また一人でブラブラと歩きだした。

宿の近くのCD屋であきらかにコピーと思われるベトナムPOPSのCDを1枚購入。
太陽はずいぶんと傾き、もうすぐ夜になろうとしていた。
晩飯はPho My(フォー・ミー)という麺料理だったが、スープがメッチャうまい。
全部飲み干してしまいました。そして夜のダー・ナンを散策。
昼間とはうって変わって、とても賑やかです。どっからこんなに人があふれ出したんでしょうか?
俺は一人、屋台でビールを飲み、宿に帰って、水シャワーを浴びた。

マーブル マウンテン(ダー・ナン〜ホイ・アン)

 昨日の夜にホテルが断水になり困った。
シャワーを浴びた後なのでそんなに被害はなかったが、トイレが流せなくなるし、歯も磨けない。
翌日には復旧していたが、東南アジアの安宿では日常茶飯事だ。

今日は一日何をしようか?僕の旅の一日はこのことを考えることから、いつも始まっていた。
とりあえず、便座のないトイレへ行き、空中イスを作り、ウゥンーときばる。
僕の体内から発せられた物は、勢いよく便器の穴に流れ込み再び姿を見せることはなかった。
「おっ!流さんでエエやん。ラッキー。」

今日のホイ・アン行きのバスは夕方の5時に出発なので、それまでホテルの受付で荷物を預かってもらうことにして僕はダー・ナンの街に出た。
あいかわらず、バイタク、シクロがしつこい。そして暑い。
ハノイこそ、過ごしやすい気候だったが、南下するにつれて、バンコクで体験していた気候になってきている。

今日の用事は郵便局へ行き、手紙を出すこと。
しかし、あっさりと終了し、ブラブラ歩いていると公園に出た。
特にやることもなく暑いので、木陰で休憩していると、バイタクのオッサンが声をかけてきた。
「これからどこ行くねん」またか。もう、ええちゅうねん。
ヒマなのでテキトー「ここや、あそこや」とにガイドブックを指していた。
でも、今から5時までどうやって過ごそう。
そこで、たまたまガイドブックに載っていた、マーブルマウンテンはどう?とオッサンに聞くと「Oh! very good!」と言うので、ヒマやし行くことにした。往復30,000VNDで成立。

運動不足なバイタクのオッサン

大理石の彫刻が並ぶ通りを走り、バイタクで20分で到着。
外人の俺は10,000VND払い、入山。ベトナム人のオッサンはタダだった。
おっちゃんも一緒に行くか?と尋ねたら、頷き、一緒に行くことに。
しかし、おっちゃん。まだ少ししか歩いてへんのに、もう息があがっております。
ほんまバイクばっかり乗ってるからや。

おっちゃんに道案内をされ、洞窟の中に入る。そこにはマリア像のような美しい仏様が。
さらに奥に行くと、洞窟の中なのに建物がある。その周りには仏像が静かに立っている。
天井からの少しの光が天然のスポットライトとなり、神秘的な空間を演出していた。
おっちゃん。ありがとう。僕はとても感動しました。
あとからコーラおごったるからな。

マーブルマウンテンからの景色はたいした感動もなく、俺達は下山し元来た所に。
おっちゃんとコーラを飲み、お互い「暑かったなぁー。」などと言い。飲み終え出発。
次に行ってもらった所は寺院だったが、工事中。5分も居ることもなくそこを後にした。
約2時間で公園に帰って来てしまった。ウッまだこんな時間か。

 昼飯でも食いに行こうかと、昨日行った飯屋までブラブラと歩いて行く。
店の前でこの店のおばちゃんと出会い、しらじらしくビックリしたフリをして僕は店へ入った。
しかし、昨日のカワイイ女の子はいない。

マーブルマウンテンにて

しょうがないので時間をかけビールを飲み、飯を食っていると、彼女が登場。
どうやら出前に行ってたようだが、この女の子はあまり働かない。
姉らしき人もキレイだが彼女はよく働いている。
僕は「シン・チャオ」とあまり働かないカワイイ女の子に挨拶をした。

彼女は一仕事終えると、出前の時に身につけていたサングラス、帽子を脱ぎ、友達もしくは従業員と話をしながら果物を食べている。
俺は名残惜しいが、いてもしょうがないので店を出ようとしたら、おばちゃんが「この子の写真をとってあげて」と彼女を俺の前に連れてきた。
俺はほぼ一日中、カメラを首からブラ下げているので、こういうことはよくあるが、
今回はラッキーと素直に喜んだ。

さてと、次は。金はまだあるが両替をしようと思い銀行へ。
ここでベトナムへ来て、初めて日本人旅行者と話をした。
彼女も俺と同じように、ハノイから南へ旅している。ハノイにはなんと1ヶ月半もいたという。
両替を終え、川沿いのベンチでボケッとしていると、昨日のバイタクのオッサンが、
サングラスをかけて、何故か俺の横に座っている。
このオッサンは俺にこれ以上、営業しても無駄だと感じたのか、
「明日は何処に行くんだ。」とは聞いてこなかった。

俺はこのオッサンにベトナム語を教えてもらい、ホテル前までタダで送ってもらった。
ハノイでボッタくられた俺は、バイタクやシクロをあまり信用できなくなっていた。
しかし、フエ、ダー・ナンそしてホイ・アンと中部を旅してると、
そんな自分が悪に思える時がたびたびあった。
そして、このオッサンもええヤツだった。

ダー・ナンにて

まだ5時になってなかったが、バスがいつ来るかわからないので、少し早めにホテル前で待つことにした。
5時近くになり、一人の青年が俺の前にやって来て、「今日、ホイ・アンに行くのはあなた一人だから、バスではなく、この普通車で行く」と俺に言う。
俺一人っていうのも、これまたすごいなぁーと思い、リュックをトランクに詰め込み、車に乗り込む。

40分ほどでホイ・アンに到着。日がもう沈みかけている。
第一志望のホテルまで送ってもらい、「US8$の部屋は空いてますか?」と聞くとFULLだった。
次に安いのがUS12$だ。「US12$かー。」
どうしようか迷ったがホイ・アンには2泊の予定なので「2泊くらいだったらOKやな」とチェックイン。
荷物を部屋に置き、あとわずかで日が沈みそうなホイ・アンを少し散策。
10分くらいしか歩いてへんのに、あっと言う間に暗くなった。

晩飯はライスペーパーの中にミンチが入っていて、それを揚げた上に、あんかけの具が乗っているホイ・アン名物らしい料理とビールでした。これがうまかった。
部屋へ帰り、バスタブの中でズボンを洗ったら、メッチャ汚かった。