我再来上海

     蘇州のホテルをチェックアウトした俺は、ホテル前からタクシーに乗って蘇州駅へ。
    これから中国初の電車に乗って、上海へ行きます。
    中国の電車ってどんな感じなのでしょうか?

     切符売り場で「シャンハイ」と言い、運賃が分からない俺は、これくらいの金額かなと、10元札を払うと、1元玉が3枚、3元のおつりがきた。
    上海までは7元(約110円)で行けるのか。すばらしい!
    改札を抜け、ホームへ行くと、電車の入り口付近にはたくさんの中国人が群がっているので、なかなか車内に入ることが出来ません。

    とまどう俺を余所に、怒濤の嵐のごとく中国人達が突入している。
    「よし!俺も行くぞ!」と気合いを入れて、俺も皆さんと同じように、ガァー!と突入して、車内へ。
    しかし、突入が遅かったため席はどこも空いていません。
    もっと早く突入(本当、この言葉が似合います)していればと悔やまれますが、しかたないので、通路に荷物を置き、立っていました。

    それにしても車内は汚いです。
    向日葵の種やタバコの吸い殻などが、そこらじゅうに散乱しています。
    これがこの国の習慣なのか、モラルが低いのか。

     電車はガタゴトと走り、約1時間で上海駅に到着。
    俺は、駅の外へ出ることはせず、地下鉄に乗って、河南中路駅で下車。
    地下鉄から外へ出ると、そこは南京路。「おっー!帰って来たか上海に」相変わらず、すごい人だここは。
    上海の風景と言えば、浦東地区や外灘、南京路の風景が上海のイメージが色濃いと思いますが、俺もその中の一人で、上海駅に着いて、上海に来たと感じるよりも、南京路の通りを見て、上海を感じた。
    しかし、人間と建物のせめぎ合いのような、南京路に感傷にひたることはなく、重いリュックを背負っている俺は、3日前と同じ道を歩き、浦江飯店へ行き、ドミトリーにチェックイン。
    今回は6人部屋です。

    上海にて

     3日前に俺が、上海を後にしたときにいた旅人達は、もういなかった。
    みんな、それぞれ旅立ったのか。ここに着けば、日本人に否応なく会うと思っていたが、誰とも会うことはなかった。この部屋の日本人も俺一人だった。

    そして、今回の部屋はみんな、朝からバタバタとしております。
    英字新聞を読んでいる、でっかいスーツケースを持っているアジア系の青年。
    2人の韓国人のおっちゃんのベッドはキシキシとうるさい。
    そして、俺の隣のベッドのオーストラリア人のおっちゃんは、とてもデブでいびきがうるさい。
    彼が愛飲しているのは、もちろんコーラ。もう1人は1回しか、顔をみていない欧米人。

     再び上海に来て、2日目の朝。
    この部屋の中で、一番遅くに部屋を後にした俺が、向かったのは浦東新区。
    浦東新区は、上海経済を象徴する番組なんかで頻繁に登場する地域でもある。
    TV塔として有名な『東方明珠塔』は、アジア一の高さを誇り、その近くにそびえ立つビルは、世界的にも有名なグランド・ハイアット・ホテルがある、『金茂大廈』という450mもある世界で3番目に高いビル。
    その他にも、この二つの建物よりかは低いが、十分に高層建築と呼べるビル群がそびえ立ち、球体の建造物も印象的だった。

     対岸の外灘から、浦東新区を眺めたら、メトロポリスもように感じたこの近未来的風景も、地下鉄で川を渡り、外へ出て、その風景の中に入れば、印象は変わった。
    外からは乱立しているように見えたビルの間隔は、とても広く、ポツンと建っている感じがする。
    アスファルトが敷かれた巨大な道路に、そびえ立つ高層ビル。
    その垂直にそびえる無機質なビルの中は、日本と同じように床や壁には大理石や御影石が貼られている。
    巨大な道路に巨大なビル。人間がとても小さく感じ、スケール感がわからなくなる。
    「殺風景だ。」あまりにも無機質で、人間のスケールに合っていないこの風景を見て、そう感じた。

    上海にて

    こんな場所に長居は不要だ。
    TV塔から景色を眺めようかと思っていたが、入場料がアホらしく高く、見る気にもなれず、
    このエリアを歩く気にもなれずに、俺はこの場をサッサト後にした。
    文明の中で生活をしている人々や建造物を見ても、そこに旅は見えてこない。
    こんな光景は、日本で見飽きた。

    これが高度成長期の上海の象徴だと言うのか。
    近年、早すぎるほどに加速を増す、上海経済。
    経済、ファッション、食文化と外資系に飲み込まれて、埋もれてしまった上海。
    10年後の上海は、どうなっているんでしょうかねー。

     写真もすでに撮る気はなくなり、俺は一度、部屋へ戻り、荷物を置き、
    再び、外へと出たが、特に行くあてもなく、ただなんとなく南京路の人混みを眺めながら、歩いていると、なんと!一緒に上海に上陸したnob君と出会った。
    俺は、彼に「まだ上海におったんかいな!」と声をかけた。
    nob君は、俺達が最初に宿泊した『浦江飯店』は、足早に去り、拠点を『船長酒店』へと変更していた。
    そして、そんな彼も2、3日中に上海を発つと言っていた。

    「これからディスコに行くんです。一緒にどうですか?」と言われ、特に、これからやることもないヒマな俺は一緒に行くことにした。
    nob君は前回、一緒にディスコに行った上海人の女の子達と会うことになっていたらしい。
    今夜のディスコは”真愛”と書いてリアルラブという所。
    チャージが30元で1ドリンク付き。

    俺も2回目とあって、前回よりも楽しくDancing!
    少し日本語を話すことが出来る彼女達と話をしたり、筆談をしたりと、お酒も入っていたので楽しかったです。
    nob君と上海人の3人は、次はカラオケへ行くようだが、俺は明日は移動日なので、俺はこの後のカラオケには行かず帰ることにした。
    タクシーに乗って、ライトアップされた外灘を眺め浦江飯店の部屋に帰ってきたのが、深夜1時。
    当然部屋は真っ暗でみんな寝静まっています。
    俺は、そっとベッドへ入り就寝。

    上海浦東新区の夜景