おいっす!岩崎です。

     旅立ちから、108日目。
    昼前に、ボダナートから、カトマンドゥのタメル地区に戻ってきて、同じ宿にチェック・インした。
    岩崎さんに、この宿にいる。とメールをしていたし、今更、宿を替える気にもなれず、『HOTEL FLORID』にそのままチェック・イン。

     ko君から、リュックを借りていたので、返すために、ko君がいる、ジョッチェンへと向かった。
    ジョッチェンへ行く途中、ko君とよく行く、食堂の前を通ると、ko君、そして、カトマンドゥに来てから出会った、yukiちゃん&kaoruちゃんが居たので、僕も食堂へ入り、4人でお昼ご飯を食べ、そして、描き上がったばかりの、ボダナートの絵を見せたりしていた。

    4人の話しは、食の話しとなり、yukiちゃん&kaoruちゃんが、チベット鍋というものを知っているか?と、チベットから来た、僕とko君に聞いてきた。
    そんなん聞いたことがない。「チベット鍋?ヤク肉でも入っているのか?」
    しかし、ここカトマンドゥには、そんな鍋料理が存在するらしく、興味津々の僕達4人は、早速、タメルにある『ラサ・レストラン』へ行き、今晩の予約を入れて、それまでの4時間くらいの間、アイリッシュ・パブへ行き、ビールを飲み続けた。

    ほんま、この4人が集まると、昼真っから、ビールを飲んで、ワイワイと話しをして、盛り上がり、本当に楽しい時間を過ごすことが出来た。僕達4人が、出会ったことが、奇跡のような偶然であり、ここまで盛り上がれる4人になってしまったなんて、これまた嬉しく、本当に仲間って感じでした。
    この場を借りて、ありがとう。またいつか、4人で会える日が来ることを楽しみにしています。

    ジョッチェンにて

     そして夕方、チベット鍋が登場!
    yukiちゃん&kaoruちゃんは、「おぉー、これがチベット鍋か!」なんて言っていましたが。僕とko君は、「こんなん見たことない!」なんて言いながら、日本のちゃんこ鍋のような、鍋料理をつっつく。
    これが、チベットの鍋なんかは、わからないが、マジ、美味かった。

    夜になり、お腹いっぱい&酔っぱらいで、宿に戻ると、スタッフが僕に紙を手渡した。
    そこには、「おいっす、岩崎です。午後5時5分に来ました。6時過もう一度来てみます。」と書いてあった。
    岩崎さんが、僕を訪ねて、来てくれていたのだ。
    今からでも、会いに行きたいが、岩崎さんが何処にいるのか、書いてなくて、わかりません。
    宿に泊まっているのか?誰かの家にいるのか?野宿なのか?
    今日は、諦めて寝ることにした。

     翌朝、誰かが、僕の部屋をノックした。
    それが誰かなんて、もう分かり切っていた。そう、岩崎さんです。
    2002年、上海で出会ってから、広州、香港と会い。2003年は、中国雲南省の大理、麗江、中甸で会い。
    そして、今回の2004年は、ネパールのカトマンドゥです。実に、1年3ヶ月ぶりの再会。

    左:みんなでたこ焼きパーティー 右:飲んだくれていた部屋

    岩崎さんは、2003年に僕と、雲南省で別れた後、チベット自治区のラサへ向かい、ヒマラヤを越えて、ネパールへ。そして、インドに入り、旅の最初の目的地のインド最南端に到着して、次の目標、世界最高峰のエベレスト(チョモランマ)登頂に向けて、再び、ネパールのカトマンドゥにやって来た。
    全行程、ママチャリなのだから、凄いと言うか、驚きである。

    ずっと旅を続けている岩崎さんは、もっと身なりが汚くなってるのかと思いきや、会った頃とあまり変わりはなく、なんて言うか、普通にジーパンにTシャツ姿でした。
    僕は、これから出かけなければならないので、午後3時に、待ち合わせることに。

     そして、再び、僕と岩崎さんは会い、岩崎さんがお世話になっているという、家に行き、夕食をご馳走になった。その後、タメルの僕が泊まっている部屋で、思いっ切り、酒を飲んだ。
    もう浴びるくらいに、お互いの今までのことや旅のことを、話し、明け方まで、飲んだくれていた。

     少し眠るが、岩崎さんが部屋を出ていったのに気が付き、時計を見ると、9時半だった。
    結局、再び眠り、1時頃に、再び岩崎さんがやって来て、宿を出た。
    今日は、ko君、yukiちゃん&kaoruちゃんと5人で、たこ焼きパーティーなるものをやるつもりなので、ジョッチェンへ行くまでの途中に、タメルの日本料理屋で、調味料をわけてもらい、それに韓国料理屋では、キムチをわけてもらって、yukiちゃん&kaoruちゃんの所へ行く。

    左:手品を披露する岩崎さん 右:yukiちゃん&kaoruちゃん

    彼女たちは、宿に泊まっているのではなく、部屋を借りているような、感じなので、調理場もあります。
    今にも雨が降りそうな中、僕達5人は、市場へ行き、野菜を買い、それに丸いお菓子を作るのに使う、銅製の型も買った。これでたこ焼きを作るつもりだが、できるだろうか?
    そして、粉も買い、その他、飲み物やら、なんやかんやと買い込みをしているうちに、大雨になり、僕達は、タクシーに乗って、戻った。
    道路が、川のようになるくらい、すごい大雨だった。

    さっそく、たこ焼きなるものを作り始めるが、粉を間違えたのか?ひっつくし、固まらない。
    結果は、大失敗。みんな、楽しみにしていたのに、申し訳ない。
    結局、kaoruちゃんが作ってくれた、パスタで、みんなお腹が落ち着いた。
    お腹が落ち着いたら、岩崎さんのマジックショーの始まり、始まり。
    僕達は、ビールを飲みながら、岩崎さんの旅の出来事など聞いたり、質問したりと楽しい一時を過ごした。

     それからも、俺が、ネパールに滞在している間、しょっちゅう僕達は、会っては、お互いのことを話したり、岩崎さんが一緒にカトマンドゥまで来た人達と飯を食べに行ったりと、岩崎さんと会えたことで、色んな人と出会えることになった。
    ほんま、岩崎さんって、心が広いし、懐が深い。
    やっていることには、俺には、何でそこまでするか!?と言う気持ちもありますが、どうしたら、これが出来るだろうか?と言うことを考え、挑戦し、実践している。
    その方法は、賛否両論だが、俺は、そんな夢と勇気がある、岩崎さんが好きです。
    また世界の何処かなのか?日本なのか?会って、酒飲んで、コイバナなんぞ、しましょうか!

    手品を披露する岩崎さん(パタンにて)




    旅の想い出に(ボダナートにて)

     彼女は、約束の時間より10分遅れて、昨夜、僕達が初めて出会った場所、日本料理屋「ふる里」の前に現れた。「ごめん、ごめん、遅れて。」Guriちゃんは、俺にそう言い、僕達は、ko君がいる、ジョッチェンへと向かった。
    Guriちゃんとは、昨夜、ko君のお別れ会をやっていたときに、日本料理屋で偶然、出会い、そのまま一緒に、ko君のお別れ会をして、今日一緒にボダナートへ行くことになった。

    ジョッチェンまで、歩いて行ったが、その間、彼女とどういう会話をしていたのかは、覚えていない。
    ko君が、泊まっている宿に着き、勝手知ったる感じで、階段を上がる。
    このゲストハウスに来たのは、これで何回目だろうか?
    ko君が、いなくなるので、今日で最後だ。

     ko君は、すでにパッキングを終え、準備万端だった。
    ゲストハウスのフロントに荷物を預けたko君と、Guriちゃんと僕とで、カレーモモを食べに行った。
    この店には、カレーモモしかなく、よくko君と行っていた。
    ステンレスのお皿に、丸いモモ(餃子)が10個。その上にカレーソースがかかっている。
    テーブルの上には、プラスティックの容器の中に、飲み水が入っているが、僕には、最後まで、その水が飲めなかったのを、覚えている。
    カレーモモは、やっぱり美味しく、俺とko君は、10個、Guriちゃんは、5個食べた。
    ko君とは、またインドで会えるだろうと、お互い思っているので、別れも手短に済ませ、僕達は、ボダナート行きのバス停へと向かった。

    ボダナート

    Guriちゃんは、乗り合いワゴンバスに乗るのは、今日が初めてだと言っていた。
    俺は、Guriちゃんが、今までどのような旅をしてきたかは、知らないが、彼女は、ネパールの旅では、あまり楽しいことがなかったと、昨夜、言っていた。
    そんな彼女は、車窓の風景を眺めながら、うれしそうに、そして時折、寂しそうで、悲しそうな表情をしていた。
    俺自身も、ネパール半ばは、辛かった時もあったので、その表情の意味も、少しは理解できる。
    俺としては、今日という日を彼女に楽しんでもらいたいし、俺自身も、今日という日を楽しみたかった。
    お互いの旅の良い想い出になれば、いいなと。

     ボダナートへ着き、僕達は、チケットは買わずに、脇道から、入場した。
    僕達は、入ってきた路地から、マニ車が並んでいる壁を時計回りに歩き、時々、マニ車を回しながら歩いた。
    チョルテンに登り、気持ちよさそうに、体を伸ばす、Guriちゃん。
    「記念に」と、僕は、彼女のカメラで写真を撮った。

    「夕方になると、もっと人が集まってくる。」と言うと、また夕方に来てみましょうと、僕達は、チベット食堂へ行き、ミルクティーを飲みながら、旅の話しやチベットの話しをした。
    壁に掛かっている3枚の写真の説明なんかもした。「一番左の子供の写真は、パンチェン・ラマ11世で、その次が、ダライ・ラマ14世、カルマパ17世。そして、壁に垂れ下がっている、白い布は、カタと言って、チベットでは、ゴンパへ行ったときや、人と別れるときに使う。」なんて、楽しくない話しも、してしまいました。
    ミルクティーを飲み終えた僕達は、2つのゴンパへ行った。

    左:カレーモモ 右:少年僧侶とGuriちゃん

     ゴンパへ行こうと言ったのは、俺だ。他に行くところもないし。
    レンガが敷き詰められた道は、ゆるやかに曲線を描き、所々がへこんでいる。
    そんな道の先には、宗派の違う、4つのゴンパが立ち並んでいる。
    僕達は、一番手前にある、サキャ派のゴンパへと入った。
    Guriちゃんに、ゴンパには、行ったことがある?と聞くと、ポカラでゴンパに行ったと言っていた。

    「タシデレー!」と言い、僕達は気持ちよく僧侶に迎え入れられ、僕は靴を脱ぎ、Guriちゃんは、ビーチサンダルを脱ぎ、お堂の中へ入った。
    誰かとゴンパへ来るなんて、メッチャ、久しぶりだ。
    そしていつの間にか僕は、カメラを取り出して、写真を撮っていた。
    こんなにも気持ちが良く、写真を撮るのも、久しぶりのような気がする。

    Guriちゃんは、僧侶と、単語を並べただけのような英語や覚えたてのネパール語を使い、楽しそうに話しをしていた。彼女は、本来、明るい人なんだと、僧侶と楽しそうに話しをする彼女の横顔を見て、僕は、そう思った。
    僧侶から、今からスペシャル・プジャが始まるから、見ていかないか?と誘われたので、僕達は、後の席にあぐらをかき、サキャ派のスペシャル・プジャなるものに、見入った。

    途中、僕達二人に、バター茶が振る舞われたが、Guriちゃんは、初めてのバター茶で、一口飲んで、「おえっ!」って感じだったので、僕は、自分に出された、バター茶を飲み干した後、そのコップをGuriちゃんに渡して、Guriちゃんのバター茶も、飲み干した。
    スペシャル・プジャは、何がスペシャルだったのか、二人には理解出来なかった。

    左:タクパ・ゴンパ 右:ゴンパの中

     僕達は、タクパ・ゴンパを後にして、僕が以前、ここに来たときに泊まった、ゲストハウスの裏にある、クンダク・ゴンパへ向かった。
    門をくぐると、庭が広く、そこでは、小坊主達が、凧揚げをしたり、紙ヒコーキを飛ばしたりして、遊んでいます。その先には、立派なお堂が、夕日に照らされている。
    ネパールのゴンパは、いつもキレイだと思うが、ここは特に、キレイだった。

    僧侶に案内された僕達は、お堂の中へと入った。
    薄い赤い色のカーテンが、差し込む光の色を変えて、神秘的な空間を演出していて、
    床から、少し高い台の上には、長いチベットのホルン(トゥンチェン)が静かに横たわっていた。
    俺は、Guriちゃんのことも気にしながら、パシャ、パシャと写真を撮った。

     ゴンパを出た後は、土産屋なのか、仏具屋なのか、そんな店で、6本入っている、タルチョを買って、半分ずつ分けて、なんに使おうか?部屋に飾ろうかな?なんて話しながら、再び、ボダナートのチョルテンに登り、座って、コルラをしている人達を見下ろした。

    僕達が見ているところからは、五体投地を繰り返している人達が、良く見えた。
    「ラサに行けば、みんなもっと激しく、やってんで。」「欧米人がやると、様になってない。」なんて言ったりしながら、コルラをしている人達で、溢れかえったボダナートを眺めていた。

    クンダク・ゴンパにて

     日もすっかり傾いてきて、お腹も空いたので、ここでご飯を食べようと言ったのは、俺だった。
    俺は、以前行った、中国(チベット)食堂へ行くが、あいにく閉まっていたので、違う食堂へ行ったが、ここも中国(チベット)系だ。
    Guriちゃんは、中国には行ったことが無いと、言っていたので、漢字ばかりのメニューも初めてなのだろうか?楽しそうにメニューを眺めている、彼女の目が印象的だった。

    「何が良い?」と聞くと、何でもいいと言うので、俺はお気に入りのトマトと玉子を炒めたのと、キノコ(土耳)と肉の炒め物、それに野菜スープとご飯を注文して、お互い酒好きなので、ビールも注文した。
    料理を食べながら、隣の席のチベタンと話しをしたりしてゆく内に、Guriちゃんの目が輝きだしたのを俺は、覚えている。

    食堂にいるときに、外は大雨となっていた。
    これが、お互いの今までの心の天気だったかもしれない。
    食堂を出たときには、雨も小雨に変わり、通りのくぼみには、水たまりが、たくさん出来ていた。

    夜の8時過ぎ、僕達は、乗り合いワゴンバスに乗って、カトマンドゥに戻った。
    その間、彼女は、ずっと外の景色を眺めていた。