眠れる都、成都

     成都に来て、今日で3日目。

    金を使って、良い所に泊まっているだけあって、毎日、本当に良く眠っております。
    今日も朝食のため(この宿は朝食付き)午前8時に起床して、バイキング形式の朝食を食べた後、再び部屋へと戻り、フカフカベッドで僕は再び、深い眠りについた。

    チベット自治州の旅は、思っていた以上に環境が厳しく、それに成都初日の野宿とで、自分なりに気が張っていたので、都会のキレイな宿に泊まって、一気に気が緩んでいた。

    そして約3時間後に目を覚ましたが、今度は寝過ぎで頭がボッーとしています。
    何もやる気が起きず、放心状態のまま、数分が経過し、やっと、重くなりすぎた腰を上げ、顔を洗い、コンタクトを装着して、お出かけ。

     僕は、一昨日に成都に到着したバスターミナルへ向かった。
    成都は、さすが省都だけあって、かなりの大都会なので、バスターミナルも複数あり、それぞれの行き先に応じて、バスの出発地点が異なっているようなので、僕は、成都の次に行く地、重慶もしくは大足へ行くバスの確認をしに行った。

    二つの行き先のバスは、ここ南バスターミナルからは出ていないらしく、受付の人が、駅前のバスターミナルから出ていることを教えてくれたが、当日にも切符が買えそうなので、僕は、駅前に行って確認することをせず、ここを後にして、次の目的、日本語使用可能なネット屋探しへ。

    (左)担担面 (右)成都の街

     成都くらいの都市だったら、日本語使用可能なネット屋があってもいいのですが、昨日も探したが、見つからなかった。
    雲南省の徳欽から、全くインターネットをしていなかったので、もう10日ほどになる。
    今日こそは見つけようと、早速、路地裏にあるネットゲーム屋へ行き、そこの兄ちゃんに「日本語使用可能?」と紙に書いて、見せると、「有(Yes)」と言う。
    やったね!と喜びましたが、昨日もそう言われて、結局、使えなかったから、喜ぶのはまだ早い。

    僕は、少年達で混雑している店内へ入り、パソコンに向かい、日本語が使えるか確認する。
    おっー!使えました。今日、1軒目で見つかるなんて、うれしい。
    僕もパソコンがないと、旅が出来なくなってきたのか?そして1時間半ほど、ネットを続けた。

     これで一応の用事は済んだので、後は、僕の旅の基本である、街散策へと、くり出した。
    成都は大都市だが、大通りを逸れると、市民の生活の場となっている所が多く、そこには肉屋、八百屋などの市場が軒を連ねていた。
    僕は、そんな市場などを見ながら、ブラブラと歩き、1軒の食堂へと入った。
    ここ四川省は、日本でお馴染みの担担麺の本場なので、ここへ来たからには、是非一度、食べてみたいと思っていた。

    しかし、この食堂では、担担麺はやっておらず、次の食堂へも行くが、ここでもやっていない。
    「いったい、何処にあるのだ!担担麺。」
    やっと、担担麺をやっている店が見つかり、早速、待ちこがれていた担担麺を注文。
    実は、僕は担担麺と言う物が、どんな物かは、ハッキリとは知りません。
    もちろん、食べたこともありません。

    そして数分後、待ちに待った、担担麺が登場!
    こっ、これが担担麺なのか!これって、スープがないのか?知らなかった。
    僕は、器に入っている、麺と具をかき混ぜ、モグモグと初めて見る担担麺を食べた。
    おいしい!四川省に入ってから、飯は僕好みになりました。

    文殊院にて

     食後は、デパートなどの商業施設がひしめき合っている、天府広場近くのマクドへ行き、2元のソフトクリームを買って、天府広場にある、巨大な毛沢東像を眺めながら、それを食べていた。
    そして僕は、久しぶりの中国寺院、文殊院へ行くために、成都で是非乗ってみたかった乗り物、人力三輪車に乗った。
    ここから、文殊院までは4キロほどだが、値段は高く、8元もしましたが、大都会、成都を人力三輪車で走るのは、とても気持ちが良かったし、普通に観光してる自分自身にも何か新鮮です。

     山吹色の壁に囲まれた、文殊院の中へはいると、重厚な黒い瓦屋根の軒が反り返った建物が、いくつか建っており、境内は、線香の臭いが充満している。
    そして、ここでは老若男女が熱心にお祈りをしている姿も見ることが出来た。
    最新ファッションに身を包んだ若者も、こうしてお祈りに来るのだから、中国の仏教の信仰心もスゴイ!
    僕なんて、初詣にも行くか行かないか、である。

    そんな光景を見ながら、文殊院を見学して、僕は境内にある茶屋へと行った。
    そこは、たくさんの人々が、竹製のイスに座り、お茶を飲みながら雑談などをしていた。
    こんな所で、お茶を飲みながら、ボッーとしたら、気持ちいいだろうな。と思い、僕も、2元払って、茶碗の中にお茶葉を入れて貰い、空いている竹製のイスに座り、ウロウロしているヤカンを持ったオッチャンに湯を入れてもらい、ジャスミン茶を飲みながら、ガイドブックを読んだりと、ボッケーとしていた。

    「あっー、なんて贅沢な時間なんだろう。」
    これぞ中国って言うような、空間に身を置き、至福の時間を過ごしているなんて、成都に来て良かった。
    僕は、1時間ほどで、心と体のオアシス、文殊院を後にして、再び街中へと歩き出した。

    文殊院の境内の茶屋にて

     街を歩いていて、よく目に付いたのが、工事中の所が多いこと。
    ここ成都も現在、路地裏と呼べる場所が少なくなっており、取り壊されて、幅の広い道路が建設中である。
    中国の都市に来て、いつも思うことなのですが、古い家々は次々と取り壊され、そこに高層建築が立ち並ぶ。みんなこれで良いと思っているのだろうか?
    生活が便利になればなるほど、僕は中国らしくなくなるような気がしている。
    ・・・でもそんなことを思っているのは、旅行者だけかも?

    なーんてことを考えていた僕ですが、夕食は中国らしくなく、ケンタッキーへ。
    さっきまで、あんなことを考えていたのにと、昆明以来のファーストフードに舌鼓。
    店内には、中国人カップルが、人目をはばからずに、イチャイチャとあんなこと、こんなことをしている。
    日本では、こんな甘ったるい世界を見ることは少ないのですが。中国では良く見ます。

     大通りは、車、バス、バイク、自転車の大洪水だ。
    日本の大都会にいるよりかは、マシですが、みんな何処へ向かうのだろうか?
    横断歩道で信号を守らない自転車は、公安に呼び止められて、注意されていますが、守っていない人はたくさんいるのに、公安はどういう基準で、止めるのかが分かりません。

    僕は、大通りの大洪水を避けるように、路地裏へ行き、市場などを見ながら宿へ。

    成都、ここはようやく眠りから覚めたような街だ。
    これから、もっともっと、成長するんだろうな。




    最後のあがき

     成都に着き、一応の旅のゴール地点に到達したので、すっかりやる気が失せていますが、このまま、あっさりとは帰りたくはなく、最後のあがきで重慶、大足へと行きます。
    その後のルートは、現在は未定でございます。

     朝、いつも通りの午前8時に起床をして、これまた、いつも通りの朝食を食べる。
    4日も続けて、同じ朝食を飽きもせずに食べたもんだ。そして、荷物整理を済まして、チェック・アウト。
    ほんとこの宿、140元だけあって、居心地は最高に良かった。おかげで良く眠れました。

     僕はタクシーを使い、成都駅の横にある、城北バスターミナルへ行き、
    親切な公安に案内されて、重慶行きの切符を購入。当初はここから大足まで行きたかったのだが、成都から大足行きのバスは、本数が少なく、今からだと、かなりの待ち時間が出来るため、ひとまず重慶へ行って、そこから大足へ行こうと考えている。

     そしてバスは、僕がバスターミナルに到着してから、1時間後の午前11時に重慶へ向けて出発。
    このバスの車内は、たくさんの乗客を乗せることが出来るように、座席の間隔がとても狭く、僕は、偉そうに股を広げて座らざる得ない。
    後ろの席のオッサンは携帯電話に向かって、怒鳴り散らしと、とてもウルサイ!
    そんな怒鳴らんでも、聞こえとるっちゅうねん!

    成都の大通りの交差点

    そしてバスは成都は出発してから、約5時間後、重慶陳家坪バスターミナルに到着した。
    このバスターミナルが重慶のどの辺りにあるのかは、分かりませんが、高層マンションが建ち並んだ、
    住宅街にある、キレイなバスターミナルだ。

    僕は、大足行きのバス切符をすぐに購入して、午後4時40分発のバスに乗ることができた。
    車内では、ジェット・リー主演の映画「ハイリスク」が上映されており、僕は、周りの風景を見ることもせずに、小さなテレビ画面をずっと見ていると、やがてバスは午後7時前に、大足に到着した。
    大足の街は、小さな街ですが、なんか、これくらいの規模の街の雰囲気がある。
    都会には、なりきれず、いなか臭さが抜けない感じが。

     バスターミナルを出た僕は、小さな街、大足を二分している、川に架けられた橋を渡り、早速、宿探しをするが、最初に提示した額は、60元だったのに、外国人と分かると100元になった。
    もう日も暮れていたので、しかたなく100元の部屋にチェック・インした。

     荷物を置いた僕は、外へ出て、宿の近くにある食堂が並んでいる通りを歩き、
    1軒の食堂へと入り、プラスチック製のイスに座り、雲南で食べ慣れていた、砂鍋米線の卵入りを食べた。

     外はすっかり夜になっており、川沿いにある広場には、社会主義の特徴でもあるかのような花火のネオンやオレンジ色のライトの下、小さな遊園地が開かれていたり、大勢の大人達が、体操をしていたりと、大人も子供も大足の夜を楽しんでいる。
    「こんなこと、毎晩やっているのかな?」なんて考えながら、僕はこの広場をブラブラしたり、先ほど行った、食堂の通りを歩いていた。

    大足にて

     市場では、また枇杷を買ってしまった。
    四川省に入ってからというもの、良く枇杷を食べています。
    値段は安くはないのですが、バナナも飽きたし、なんか違う果物を食べようと思うと、枇杷をつい買ってしまいます。美味しいですね。とても。

    さぁて、明日は、この街の見所、世界文化遺産の宝頂山石刻を見に行く。