あっちこっちバンコク観光(2)

 朝、いつものように僕が泊まっている宿『サワディー・スマイルINN』の1階のカフェで、ベジタブルバゲットと7upを頼み(70B)今日は、どこへ行こうかな?
とガイドブックを見ながら、ちょっと贅沢な朝食を食べていた。

 とりあえず歩きだそうと、いつもこっちばっかり通っているから、今日はあっちを歩いてみようと、好奇心旺盛な僕はいつもとは逆方向に歩き出した。
道端には、水や果物を売っている人や、ボケッとしている人達がいる。
そんな人々に対し、僕は「サワディー!」と挨拶をしながら歩くと、行き止まりだった。

僕の目の前には、ムエタイのジムがあり、どんなもんかと思い、中へ入れてもらった。
少年が2、3人いるだけで、特になにもやっていなかったので、僕はジムを通過し、外へ出た。
通りは、僕が今まで「暑い!、まだこんなところまでしか歩いてないんか!」と一人文句を言っていた場所に出た。

こんなに近かったのか。近道発見です。

 美術館や博物館の方に歩いていると、今日も客引きが寄ってきます。
彼らはいつも同じ事を言っている。「トゥクトゥクに乗って、観光せーへんか」だ。
自称学生や自称教師なんてヤツもいる。
以前のこともあるので、もうかかわる気もない。
また、青年がやってきた。うるさい!しつこい!向こう行け!

船上からワット・アルンを見る。

 俺は今日はクルージングをするんだ。とブッタマーケットの船着き場に到着。
これからチャオプラヤー川をクルージングするぜ!と2B払い、船に乗る。
船はゆっくりと進みだし、そのままの状態で対岸に着いた。この船はここで終わり。
どうやら2Bの船は対岸に行くだけの船のようだ。

次に乗ったのはチャオプラヤーExpressというボート。テキトーに行き先を言い、6B払いチケットを買う。
気持ちいい。気分爽快です。橋の下をくぐり抜ける時なんか、まるでクレア・デーンズになった気分。
数人の欧米人がチャイナタウンはここですか?と聞いて降りたので僕もここで降りることにした。

 チャイナタウンはまるで香港のような町並みでそこにトゥクトゥクが走っていて、看板がタイ語だったり、中国語だったりと、中国とタイの文化の融合って感じ。
せまい道路には、雑貨屋と屋台が所狭しとひしめき合っている。
売っている物は100円SHOPレベルの物が多かったが、食材はまさに中国でした。
少し早いが、ここで昼飯。ヌードルスープです。中には、魚の練り物や揚げた魚などが入っていた。
クソ暑い中、熱い昼飯。汗ダラダラ。飯を食べるときも寝てるときも、いつも汗ダラダラ。

ある程度見たし、これからどうしようかとガイドブックで調べ、ゴールデン・ブッタを見に行くべく、トゥクトゥクの運ちゃんに値段交渉開始。60Bから始まり、30Bにしたかったが結局40Bでおちついたが、おい!近いやんけ!30Bでメッチャ嫌な顔されたから40Bにしたが、お前らやるやんけ。
帰りは洋風建築(ボロボロ)を見ながら歩いて余裕で帰れた。直線やった。


 今度はワット・アルン(暁の寺)を目指し、またボートに乗った。
ターティアンで対岸行きのボートに乗り換えて到着。クソ暑かったが建物はすばらしい。
塔全体を割れた茶碗や皿などの破片が漆喰で貼られていた。

そんなワット・アルンを後にした僕は、出発地点にもどろうとボートに乗り、北上したが、まちがえて一つ手前で降りてしまった。
ここの船着き場は木造で床の裂け目からは汚い川の水が見える。
そんな床の上に所狭しと店が並んでいる。ウーン、エネルギッシュだぜタイ。と一人感心していたが、さらに地上には屋台がたくさん並んでいた。パワフルでいいですねー。

日本もこんな風になったら、もっともっと毎日が楽しいのに。
そんな事を考えていると、目の前にはワット・ポー。
今日は寺院めぐりだなと、つぶやきワット・ポー見学。

ここには世界各国の観光客が訪れる場所なので、人が多くてしかたがないが、僕も彼等に混ざり、寝転がっている金色の仏陀を見たりしていた。

ワット・ポーを出た時には、日も少し傾いていた。
ブッダ・マーケットの屋台で玉子麺のヌードルスープを食べるが、
ここには、マズイ物がないのかと思うくらい、バンコクで食べる物全てがウマイ!

船着き場の前とワット・アルン

  そして僕は朝、自称教師の客引きから今日は大学でムエタイの試合がある。しかもタダだ。
と言っていたのを思い出し、半信半疑で大学へ向かった。
しかし、それらしき看板もない。ヒマなので売店でジュースを買い(3B)ブラブラとしていた。
そしてリングを発見。しかし誰もいない。やはりガセネタか?
もうちょっと待ってみることにしたが、練習もしておらず、誰もいない。
やはりガセネタだった。まあ大学に行けただけでも良しとしよう。誰でも入れんねんけどな。

外はもうすっかり日も沈み、暗くなっていた。
広場では皆さん、凧あげに夢中。そんなに楽しいか?凧あげが。
広場から見えるワット・プラ・ケオのライトアップがとてもきれいだった。
王宮前広場を抜けると、4車線道路がある。
今からここを横断するが、横断歩道なんてありません。車がビュンビュン走っている。
朝よりも増えたな。なかなか渡れない。俺と同じ事をしようとしている人が増えてきた。
アカン。渡られへん。と思っていたら、車が止まった。ン!信号があったのね。
よくこれで事故が起こらないものだ。

カオサンでパット・タイとシンハービールを食べ、水を買って宿に帰った。
明日はどんな事が起こるのでしょうか?

列車に乗ってアユタヤーへ

 今日は、今回の旅始まって以来の遠出の予定だ。
朝6時に起きて、準備を済まし、朝食も食べずに僕はゲストハウスを出て、目の前に止まっているタクシーに声をかけた。
朝早かったせいか、ホアランポーン駅までメーターでは行ってくれず、値段交渉をすることになった。
向こうの言い値は、200Bだが、メーターを使っても60Bくらいやし、プラス早朝料金を上乗せしても80Bがエエところやな。
 
と僕が言うと、運チャンは「兄ちゃん、それはないやろ?」と言うような表情をしたので、結局、100Bで行ってもらうことになったが、高かったな。

この兄ちゃん、お前は寝てへんのか!というくらいハイ・テンションで俺に、風俗のパンフを見せ、「タイレディー最高!」と前も見ず、俺をせっせと勧誘する。
お願いだから前を見て運転してくれ。

俺も指で前を指し、前を見ろ!と言っていたが、駅に着いても、彼のコーフンは覚めることなく、一人でにやけていた。

ホアランポーン駅に到着するが、朝早かったためなのか、人は多くない。
僕は切符売り場へ行き、「アユタヤー」と言って、15Bの3等の切符を買った。
列車は7時05分発。僕は、アユタヤー行きはどれ?と人に聞き、車両に乗り込んだ。
そして10分遅れで、列車はホアランポーン駅は出発し、一路アユタヤーへ。
3等は、キレイとは言い難かったが、特に不満はなかった。

列車はゆっくりと都会のバンコクを走り、空港を過ぎた辺りからは、のどかな風景が広がり、やがて田園風景へと変わっていった。
都会とは違い、田舎の風景と僕の顔に当たる風は、僕を旅一色に包み込む。

アユタヤーにて

 駅に掲げられた地図を見てみたが、ここからアユタヤー遺跡までは、そう遠くもないが、僕は、自転車に乗って、遺跡を見てまわりたいと思っていたので、近くにあったレンタル自転車屋へ行き、40B払って今日一日、自転車を借りて遺跡見学へと出発。
「暑い!」もし歩きだったら、絶対に干からびていた。

しばらく自転車を走らせると、見えてきました”遺跡”が。
カッチョイイぜ!なんて言う名前かなんて知らないけども、俺の目の前には、レンガ造りの塔がある。

下は瓦礫と化しているが、草は刈られ、一応は整備されている。
しかし無造作に置かれてある、瓦礫と化した石やレンガが遺跡情緒をかぼし出している。

 本当に暑い中、僕は自転車をこぎ、遺跡群を見てまわった。
以前はきっと白かったのであろう。今はすっかり灰色となった3つの塔や、屋外で寝そべっている仏陀など。

僕は自転車を止め、遺跡に近づいたり、または登ってみたりとしているうちに、もう汗びっしょりです。

バンコクへ来てからというもの、毎日汗びっしょりですが、日本ではこんなにも汗をかいたことがあっただろうか?
博物館の近くの売店で水を買って、日本から持ってきていた、ポカリスエットの粉末を入れ、そして、それを一気に飲み干してしまった。
そして僕は、すっかり埃まみれになったバンコクで買った布カバンを自転車の前カゴに入れて、再び、遺跡見学へとくり出すのであった。

アユタヤー遺跡

 暑さにすっかり、くたばってしまった。と言うこともあり、アユタヤー滞在は、5時間ほどでしたが、都会のバンコクとは違い、久しぶりに快晴の下、自転車で、舗装されていない道を走ったり、遺跡の階段を登ったりしていることが、とても心地よく感じたし、俺は、ほんと一人旅をしているんだな。と言う実感が湧いてきました。
自由に動き回ること。これがこんなにも楽しいなんて。
僕は、3時頃の急行に乗って、バンコクへと戻った。

ホアランポーン駅へ着き、僕は2階のベンチに腰を下ろし、1階のホールを眺めていた。
朝とは違い、人、人だらけです。大きなカバンをいくつか抱えた、人もいれば、僕のような、リュックを背負ったバックパッカーもいる。
世界には、たくさんの人がいる。当たり前のことだし、知ってもいたけども、このように異国の地で、大勢の人達を見ると、実感せずにはいられなかった。

翌日、僕はベトナムビザを受け取った。
「さぁ、明日からベトナムだー!」


「気持ちが良い。」いままでこんなにも気分良く、列車に乗ったことなんかあっただろうか?
そして出発してから、約2時間で目的地アユタヤーに到着した。
僕が乗っている3等車両は、ホームからはみ出していた。